クラウドでiTunes?

クラウドでiTunesが提供されるようになると、Appleの囲い込み戦略が加速するみたいな見方をしている人もいるようです。

「クラウドとは何か」という定義をきちんとしてから議論をしないといけないのでしょうが、あまり細かいことにこだわっていても仕方がないので、思った事を書いておきます。書いてて、事実関係をきちんとチェックしていないことに気がつきました。間違いが含まれているかもしれません。

通常の家庭においてインターネット回線は有料ですが、サービスは無料で提供されているものが多いのに対して、携帯網は便利なサービスに対しては課金される環境で、利用者はそこに対して利用料を毎月支払う事に対して抵抗感が少ないことから、月額315円を追加して支払うことが多いようです。

その延長線上で100円アプリなどがものすごく普及しているように見えます。月額315円に対して、ほぼ同等のアプリケーションが100円で入手できるなら、人気がでるのは当然です。また、100円ショップで必要な物を購入するついでに、いますぐは必要ないけど便利そうだと感じるものまで購入してしまう心理に近いものがあり、ついでにアプリを購入している人も多いのだと思います。

そう考えると、アプリケーションでお金をかせぐか、コンテンツデータでお金をかせぐか、ということに目が向くわけですが、その前に課金できるかどうか、という点が課題になってきます。Apple Store にせよ、Google Market にせよ、課金システム込みのサービスである点が重要です。iアプリなどについても、課金システムについては同様に提供されていたと思いますが、日本国内でやっているのと、世界でやっているのとでは規模が違うので、アプリの単価で大きな差をつけられたと考えています。日本国内でも100円ゲームを提供して成功しているところもありますが、Apple Storeの100円アプリとはちょっと違う気がします。

こう考えていくと、Appleは何も新しいことをしているわけではなく、携帯電話会社がやってきたところへ参入してきているだけなのですが、既存ユーザへのサポートをしなければならない王者に対して、新規ユーザを開拓すればいいだけのチャレンジャとして戦いを挑んでいて、今のところは新規分野への投資だけで良いので、しがらみもなく新しいことに最適化して成功しているように見えます。

Appleとしては、これまでプラットフォーム戦争で勝つ事ができなかったので、今後のプラットフォームとして押し進めてきた Apple Store での課金を離したくないでしょう。iTunesが必須という状態でiPadをリリースしてきたわけですから、今後も iTunes – Apple Store のラインを前提とした戦略を進めてくるはずです。そうすると、Googleが進めるクラウドサービスに対抗が必要となってきて、iTunesのデータをクラウドに保存するという方向に進むのは自然です。ただ、iTunesにしばられることに抵抗を感じる人もいそうですから、この戦略が今後も有効かどうかはわかりません。無秩序な世界よりは、ある程度コントロールされた世界の方が居心地は良いのですが、今回のiPad 3Gがパソコンを持っていないと3Gネットワークに接続ができなくて、実施的に使用できないという仕様だったことが気になります。

また、クラウドはネットワーク上のどこかにあるデータセンタにデータを置く事を前提にして話をされることが多いのですが、そこにも違和感を持っています。データセンタにデータがあることが重要なのではなく、クラウドに接続することによってマスターデータからデータを取り出せることが重要なのであり、マスターデータは自分で管理できる範囲の場所に置くのが普通だろうと考えています。ですから、手元においてある安心感というのが必要とされるだろうと推測しています。もちろん、データセンタみたいなものを自宅に構築しないといけないとなると大変なことになるので、ネットワーク上で堀、城壁、といったものを簡単に提供するアプライアンスが必要となってきそうです。

さて、話はまったく変わりますが、「iPadをパソコンのセカンド・モニターにするアプリ | WIRED VISION」というのもあるようです。これは便利そうですから、手に入れたら、常時PCとiPadを持ち歩く事になりそうです。荷物が重くなりそうで、やれやれです。

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