Ref: Flash v. Java Applet
でshiraさまから色々とコメントを返してもらえましたが、なかなか興味深い内容です。次世代アプリケーションへの考察に対しては、意見を述べたいところですが、今日は時間がないので、そのほかの1点に対して意見を述べようと思います。
無償であることはビジネスにとって重要ではない
ビジネスという観点では、ツールが無償であることはビジネスにとって重要なことではないと思っています。有償のツールを使ってでも、開発効率が上がるのであれば採用すべきです。というのも、ソフトウェアの値段と比較すれば、人件費の方がよっぽど高い、という事実があるからです。ふつう人件費は月数十万円かかりますから、数万円程度のソフトウェアを導入して開発効率がちょっとでも上がれば十分に元がとれます。無償のツールが有している「敷居の低さ」にはかなわないわけですが。 |
はたして、本当にそういいきれるでしょうか。局所的な場面ではそうかもしれませんが、大局的に見た場合はどうなのでしょう。
シェアをとるためには無償版は必須
有償のツールを買ってみて、開発効率が上がらなかったら大損です。ビジネスを開始しようと思った場合は、初期投資はできるだけ抑えたいはずです。そこで役に立つかわからないツールにお金をかける人はいないでしょう。開発効率があがるか試してみるためにソフトウェアを購入する余力がない限りは手をだせないはずです。ソフトウェアを導入すればもうけている以上に利益を得ることができるという保証がない限り経営者は購入を認めないでしょう。こういった理由から従来のソフトウェアは、その魅力を十分アピールできないまま販売チャンスを失っていたのです。それに気づいたNetscapeがとった戦略は、個人ユーザーへのソフトウェア無償配布です。収入は法人ユーザーから得るというNetscapeのビジネスモデルは衝撃的でしたが、うまく働いていました。しかし、そんなNetscapeもMicrosoftによるInternet Explorerの無償化とOSバンドル化の戦略の前に倒れてしまいました。ここでのキーワードはやはり「無償」でしょう。
無償提供を視野にいれない販売戦略はありえない
現在は、オープンソースで無償のGNU/Linuxを利用するRedhatのビジネスモデルと、それに対するMicrosoftの囲い込みとバージョンアップによるビジネスモデルがしのぎを削っているといえるでしょう。そして商売上手なMicrosoftは、「マイクロソフト、国内の小中高等学校にWindows 2000を無償提供」といった記事からもわかるように、無償で提供すべきところには無償で提供し、市場支配力を維持しようという努力を継続しています。こういった流れを見ると、「簡単にビジネスの観点から無償であることは重要ではない」とは断言できないのではないでしょうか。もちろん、「コストに見合う価値ある物に対しては対価を支払う」のは当然のことですが、価値判断をする場面においては、無償で試用できるということは非常に大きな意味があるはずです。
さいごに
個人的には、今後はソフトウェア自体でもうけるというのは難しいのではないか、と考えています。カスタマイズサポート、運用支援、アップグレードサービス、プラグイン販売といった部分で継続的に収入を得るという方向ではないか、と思うのです。