KisoJava 3

改訂版基礎Javaを執筆するにあたって意識した事 その3

BeanShellを使う事についてのメリットを「KisoJava 2」で書きましたが、実は統合開発環境(IDE)と言われるEclipseやNetBeansを使うと言う選択肢もありました。しかし、今回はそれらを採用しませんでした。編集部さんが別途Webサイトにページを用意してくださり、そこにIDEを使う場合の解説をしてくれています。(改訂新版 基礎Java−統合開発環境。ちなみに、impress Direct:改訂新版 基礎Javaでは立ち読みもできると書いてありますね。iBookのFirefoxではうまく動作しませんでしたが…)

IDEを使ったJavaプログラミングの入門としては、Eclipseを使ったものを@ITで記事(@IT:Eclipseではじめるプログラミング)として執筆した事があります。そのときに、意外とEclipseについての説明が多くなってしまうため、プログラミングについての説明が減ってしまうと思いました。また、学校などでは、いろいろな開発環境を使って教えているので、Eclipse、NetBeansを使うと絞ってしまうと、Javaプログラミングの参考書として推薦されにくいという事情があります。また、IDEは結構頻繁にバージョンアップされるため、それに依存するような入門書にしてしまうと、学校のように毎年のカリキュラムが決まっていて、毎年大体同じように教えているところでは使いにくいということになりそうです。とはいえ、最近またJDKがバージョンアップされた事からもわかるように、JDK自体も頻繁にバージョンアップされるので、書籍についているもので完結しておく、という割り切りも必要なのかもしれません。

いずれにせよ、使っているIDEに強く依存していると、読者が限定されてしまいますので、本書のようなスタイルになりました。とはいえ、本書ではPart1はBeanShellに依存しているので、この部分の評価が大きく影響しそうです。そのことを考えると、「BeanShellで学ぶプログラミングの常識」、「Javaで学ぶプログラミング入門」、「Javaで学ぶオブジェクト指向プログラミング」という3分冊にすることにより、BeanShellに依存する部分を切り離すことも考えられたのですが、分冊形式は読者にとっては割高感がありますし、3冊持ち歩くことになるのも嫌だろうと思って、Part1、Part2、Part3構成の1冊にまとめたのでした。

BeanShellは、クラスの説明やメソッドの説明をすることなく、Javaの文法を使ってプログラミングの常識を理解してもらえるベストソリューションだと、個人的には思っています。学校で参考書指定をもられると一番良いのですが、本屋さんで独習のために良い本がないかと探す読者も多いはずですから、そういう人が地道に理解を深めるためには、コンパイラ方式よりもインタプリタ方式で確認できた方がいいはずです。

もちろん、プログラミング経験がどれくらいあるのか、コンピュータをどれくらい使ったことがあるのか、そういった点が影響してくるので、他の方法と比較してこれがいい、と断言するのは難しいものです。実際のところ、Visual C++などを使った事がある人は、EclipseやNetBeansから入った方が効率的でしょうし、実際に使用するIDEが仕事場などで決まっているなら、それを使う入門書を読んだ方がいいかもしれません。ただし、個人的には、Javaプログラミングの入門については本書のような学習用参考書を、Eclipseについて知りたい場合はEclipse解説本を、それぞれ購入することを推薦します。つまり、目的に応じて選ぶということです。その結果、Eclipseを使ったプログラミング入門書を1冊購入すればいいという結論になることもあるでしょう。

KisoJava 3」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: hiro345

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