いろいろなアカウント

アカウント(Account)とは、「パソコンやインターネット上のサービスを利用するための権利」という意味で使われるIT用語です。最近はコンピュータやクラウドサービスを利用するにあたっては、いろいろなアカウントがありすぎて、よくわからなくなるかと思います。ここでは、簡単にアカウントについて説明をしてみようと思います。アカウントはユーザーと結びついていることが多いので、混同して使われることも多いです。

まず、パソコンやスマートフォンを使うには、それらが使用しているOS(operating system) を利用するためのアカウントが必要です。OS には Windows、macOS、Linux、iOS、Android、Chrome OS、Raspberry Pi OS などがあります。OS のアカウントについては、「OS名 アカウント」と呼ぶことが多いので、Windows のアカウントは Windows アカウント、macOS のアカウントは macOS アカウントのように言います。登録してあるユーザー名とパスワードを使うと、対応するアカウントによりOSの機能が使えるようになります。

ここで、Windows マシンでは、ローカルアカウントと Microsoft アカウントという概念があって、最近の Windows ではローカルアカウントではなく Microsoft アカウントを登録して利用するような設定になっています。Windows 10 まではローカルアカウントを作って利用することが手軽にできましたが、Windows 11 では普通に初期設定を進めると Microsoft アカウントを使う設定になるようです。

Microsoft アカウントは https://account.microsoft.com/account/ で管理されているアカウントです。アカウント作成には E-mail のアドレスが必要です。Microsoft のクラウドサービスや製品を使うときに Microsoft アカウントが使えます。E-mail は outlook.jp, live.jp, hotmail.com のような Microsoft のメールサービス用ドメインがあるので、Microsoft アカウント作成時に一緒にメールアドレスを入手することもできます。

同じようなものは、Apple にもあって、Apple ID があります。https://support.apple.com/ja-jp/apple-id で作成することができます。こちらもアカウント作成には E-mail のアドレスが必要です。Apple の場合はメールサービスとして iCloud メールがあります。Apple ID 作成時にメールアドレスがない場合は、iCloud メールサービスのメールアドレスを取得して Apple ID として使うことができます。

MacBook Pro や MacBook Air のような macOS マシンでは、ユーザー(ローカルアカウント)を作って利用するのが普通です。ユーザーに対して明示的に Apple ID を結びつけることで iCloud サービスを利用できるようになります。iPhone や iPad のようなiOS デバイスでは、デバイスの所有者情報を持つという意味ではローカルアカウントのようなものがあります。この情報は母艦とするマシンの macOS のユーザーと対応します。iOS 上でも、所有者の情報に Apple ID を結びつけることで iCloud サービスを利用できるようになります。

ここまで、Windows アカウント、Microsoft アカウント、macOS アカウント、iOS アカウント、Apple ID といったものが出てきました。OS で必要なもの、クラウドサービスで必要なもの、といった点はすぐにわかると思います。これらのアカウントを設定画面で結びつけることで、OS やクラウドサービスの利用を統合的にできるようになっています。

さて、ここで、Google アカウントというものもあります。Android ユーザーや Chrome という Web ブラウザを使っている人には馴染みの深いものです。Google アカウントは Google のクラウドサービスである Gmail や Google Calendar といったものを利用したり、Chrome を使う時に使用します。Chrome OS を搭載する Chrome Book では Google アカウント利用が前提になっています。

Chrome という Web ブラウザは利用している人が多い人気のあるアプリなのですが、Google アカウント用のプロファイルを作成することで、ものすごく便利になります。そういったことから、最近のパソコン利用者は、「OS」と「OS と連携しやすいクラウドサービス」と「Chrome」を組み合わせて使ったりするので、「Windows アカウント + Microsoft アカウント + Google アカウント」を所有して管理するといったことになります。

ちなみに Chrome ではプロファイル機能を使うことにより、複数の Google アカウントと連携する Chrome のウィンドウを同時に開いて利用することができるようになっています。会社や学校で使う Google アカウントと、個人で持っている Google アカウントを同時に利用する Chrome のウィンドウを開いておきたいときなどに、プロファイル機能を使うと便利です。自分は開発用プロファイルも用意して、普段使いとは別に Chrome を利用できるようにしてあります。アプリの動作確認などでは Web ブラウザのキャッシュデータをクリアしたりすることがよくあるので、開発用プロファイルを用意しておくと作業がはかどります。プロファイル機能については Firefox という Web ブラウザにも搭載されているので、知っておくと良いでしょう。

他には、利用するクラウドサービスによって、Skype アカウント、LINE アカウント、Zoom アカウントといったものがあります。Skype については Microsoft のサービスなので、Skype アカウントは Microsoft アカウントになります。ですから、すでに Microsoft アカウントがあるなら Skype 用にアカウントを作成する必要はありません。Skype が Microsoft に買収される前から利用していた人のアカウントは Microsoft アカウントと結びついていなかったりするのかな、このあたりはちょっとわかりませんが、クラウドサービスも所有者が変わることでアカウント管理が変わるので、なかなか理解するのが難しい状態になっています。

最近は、OpenID の普及により、各サービスへログインするにあたって Google アカウントや Microsoft アカウントや Twitter アカウントや GitHub アカウントなどが利用できるようになっています。こういったアカウント連携は便利である反面、個人のアカウント管理が複雑になるという面もあり、自分もアカウントの把握が大変になってきています。あるクラウドサービスについて、どの Google アカウントでアカウント連携をしたのか、というのがわからなくなってしまうことも多いのですね。

ということで、よく使うアカウントについて、それぞれの関係を簡単に書いてみました。これを読んだだけでは、まだわからないことだらけでしょうけど、「OS」、「クラウドサービス」、「Web ブラウザのプロファイル」といった視点を持ってアカウントを理解するようになれば、整理はつくようになるはずです。「ここで要求されるパスワードは、何が要求してきているものなのか」の把握ができるようにならないと、間違ったパスワードを入力してアカウントがロックされてしまったりして困ったことになります。アカウントについて理解を深めて、そういったことがないようにしたいところです。

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