iPod vs Sony Walkman, iPad and Kindle

興味深い記事を読みました。2つあるのですが、iPod vs Sony Walkman, iPad and Kindle についてのものです。

1つ目は、iPod vs Sony Walkman の話で、「ウォークマンがiPod抜き首位=ソニーは老舗のまんじゅう屋になりたいのか?【湯川】 : TechWave」という記事です。新しい市場が形成しつつあり、既存の市場は縮小していくという展望を提示して、既存の市場が縮小していく中で、ちょっとiPodを抜いたからといってSonyは喜んでいる場合ではないでしょう、といったことを言っています。

2つ目は同じ執筆者による iPad and Kindle の話で、「iPadが発売されてもAmazonがびくともしない2つの理由【湯川】 : TechWave」という記事です。こちらを読むと、iPod vs Sony Walkman とは話の展開が違っていて興味深いところがあります。iPodとSony Walkmanの記事では、競合しているという話でしたが、こちらの記事にでてくる iPad と Kindle の話では、これらは競合していないと記事の中では述べています。これは、本当にそうなのでしょうか。はたして、Appleは一緒に電子書籍の世界を構築しよう、などという視点で考えているのでしょうか。Appleは将来突然 Kindle for iPadを許可しなくなる可能性は十分にあります。AppleのiPhoneアプリ関係では、競合しないし、リジェクトされる理由もないと思ってアプリ申請をして一時期は審査を通っていたのに、ある日突然審査が通らなくなったアプリがたくさんあります。その際に審査基準が明確ではなく、Appleが恣意的に審査をしているのではないか、という批判が多くネット上でも流れていました。このあたりが明確にならない限り、単純にこの記事がいうように競合関係にないといいきれないところが難しいところです。とはいえ、現時点では Kindle for iPad はリリースされているので、現時点では競合関係にないと言えるのでしょう。

最近の例で思いつくのは、iPhone vs Android です。もともとは、GoogleとAppleとは競合関係になかったのですが、携帯端末という市場では競合するようになってしまいました。GoogleがやりたいこととAppleがやりたいことは違うのですが、iPadの話とKindleの話も同じで、AppleがiPadで構築したい世界と、AmazonがKindleで構築したい世界は違います。一部被っているので、いまのところは協調関係にありますが、いつ競合関係になってもおかしくありません。そういった意味で、「iPadが発売されてもAmazonがびくともしない」とは言えないと考えられるのです。

もうひとつ、市場という視点でみたときには、携帯端末系(携帯電話、スマートフォン、携帯タブレット、携帯ゲーム、電子辞書)の市場というのは、あまり単純な構図にはなっていないため、どこが広がっていて、どこが縮小しているのか、よくわからないというのが気になります。全部合わせると市場は拡大傾向なのでしょうが、個々については縮小していたりします。要は携帯端末系というのは、少し前のPDAなわけですが、そこへ携帯電話の機能やゲーム、電子辞書というのが搭載されるようになってきているだけです。携帯電話キャリアからすると、携帯電話へ他の機能が搭載されるようになった、ということになりますが、どちらも同じことを意味していて、説明する対象によって変えればいい話です。さて、話を戻しますと、携帯音楽プレーヤという既存の市場については、スマートフォンや携帯ゲームといった新興市場によって切り崩されてきているわけですから(携帯電話市場も携帯ゲーム端末市場も既存なのですが)、これら全体を見て考えないといけないはずです。とはいえ、Sonyが出しているPSPの調子もいまひとつですから、iPod vs Sony Walkman の記事で取り上げられても、取り上げられなくても、どちらでも同じ結論なのかもしれません。

いずれにせよ、2つの記事は単独でも面白いのですが、組み合わせてみると、いろいろな事が考えられて、さらに面白く読めます。携帯端末はいずれ規格が統一されて、どのメーカのものを使っても同じようなものになるのでしょうが、そのときにプラットフォームを握っているのはどこなのか、そのときのプラットフォームは携帯端末のOSなのか、クラウドサービスなのか、他の何かなのか、広げて考えてみたいところです。

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