「CLIE撤退に見るPDAの悲劇」はPDAに関する現状をよく解説している。ノートパソコンの普及と供にPDAの市場が縮小しているのは感覚的には正しい。残念なのは、SONY全体の戦略が視野に入っていないように思われる点だ。以前より「PSPとCLIEとの差別化はどうなるのか」が話題にあがっていたと思う。エンターテイメント性を求めるツールとしては後発のPSPが不利であるが、成長性を考えたらPSPの方が上だろう。同じような値段で同じような性質の製品を別のラインアップで販売する必要はないはずだ。仮に新たにPDAを開発して販売したいとしても、その場合はPSPで採用しているハードウェア部品をできるだけ利用したいはずだ。さらに、CLIEで培った携帯マシンのノウハウをPSPへ注ぎ込むためには一本化を図って効率よく行うべきだろう。これらの視点を含めると、シェアトップであってもPalmOSによるPDAからは撤退するというシナリオは当然であることが、さらに鮮明になるのではないだろうか。
これらの意見はあくまで想像にしか過ぎず、裏づけとなるデータは一切ないが、SONYのPSPへの傾注を見れば無視することはできない事項であることは確かだ。SONYとしてはPSPを成功させることに集中していきたいのだろう。そう考えると、PDAの撤退は一時的なことで、いつか復活することは明らかだと思われる。Nintendoにしてもそうだが、自社のハードウェアが携帯端末として十分普及してくると、他の機能を追加したくなるものだ。なんらかの形でPDAの機能がPSPに搭載されるようになるだろう。場合によっては、中身はPSPのハードウェアアーキテクチャを利用しつつ、外見はまったく別のものとして販売されるかもしれない。
月並みだが、PDAのノートパソコンに対する優位性は「バッテリの継続時間が長いこと」「ポケットに入ること」であると考えているので、この点を突き詰めれば、まだまだ面白いものができるはず。これまでも何度もPDAは消えたが、そのたびに復活してきた。こんども甦ってくるに違いない。
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