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アジャイル仮想論争:スキルの問題
仮想論争というのもつまらないでしょうから、ちょっと意見してみます。
アジャイル開発を行うには高いスキルの開発者をそろえなければならない。しかし、そもそもスキルの高い開発者をそろえればどのようなやり方をしようともプロジェクトを成功させることはできる。
この主張に対して、最初から次のような仮定を持ち出すのは議論の進め方としては性急な感じがする。論点をきちんと明確にして、この仮定を導出してこないといけないのではないでしょうか。また、この仮定は違うと指摘されたときに反論ができません。そうすると、この後の論理展開はすべて成り立たなくなってしまいます。
このような人達は
「開発プロセスというものは誰でも、手順通りに開発を進めれば、
誰でも70点の成果を上げられることを目指すものだ」という間違った考えを前提に発言していると思われます。
では、どのように展開していけば良いかというと、ここでは、「アジャイル開発を行うには高いスキルの開発者をそろえなければならない。」と「スキルの高い開発者をそろえればどのようなやり方をしようともプロジェクトを成功させることはできる。」という主張が正しいかどうかを議論していくのが良いのではないでしょうか。
ということで、それぞれ見ていきますが、2つめの主張はあきらかに可笑しいことに気がつきます。「スキルの高い開発者をそろえればどのようなやり方をしようともプロジェクトを成功させることはできる。」というのは、スポーツの世界で「スーパースターを集めたドリームチームは必ず優勝する」といっているようなものです。現実では個々人がスーパースターでもチームワークがなければ優勝できないことが多いことからみても、これは間違っていると言ってもよいでしょう。各人が好き勝手な方法でプロジェクトを進めようとしたらうまくいかないのは当たり前です。また、各自の得意な開発スタイルや過去に経験したことがある開発スタイルであれば、それを採用して開発をすれば成功する可能性は高いでしょうが、誰も経験したことがない開発スタイルを採用して、ぶっつけ本番で開発をしても成功するというのは、よほどな幸運がない限り難しいでしょう。未経験のものというのは、現在うまくできているのか、うまくやれていないのか、という判断がしにくいので、修正をかけるタイミングがとりにくいため、最終的に失敗してしまうことが多いはずです。
次に、「アジャイル開発を行うには高いスキルの開発者をそろえなければならない。」の方ですが、なぜアジャイル開発には高いスキルの開発者が必要だという誤解がでてくるのでしょうか?確かに、アジャイル開発では、経験から学習し、変化する状況に適応する
能力がより重視されています。しかし、この能力がすなわち高いスキルであるかというとそうではありません。まったく別の話です。先の主張をする人たちは、この「変化する状況に適応する能力」と「高いスキル」を一緒にしてしまっているのです。
ここまで書いて疲れたのでおしまいにします。(弱) X(
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