Composition

長野県では、中長期的なビジョンなるものが公開されているわけですが、たまたまこれを読む機会があり、たまたま感想を書く機会があったので載せておこうかと思います。短い時間で書いたので、あまり言いたいことがはっきりしませんが、まぁこんな感じです。

ちなみに、ここからダウンロード可能なPDFファイルではLinuxで一般的でないフォントを使っているみたいでまともに読めないのだが勘弁して欲しい…

世界に通用する地域密着型産業を育成する時代へ

■はじめに
「未来への提言」には興味深いさまざまな提言がされているが、ここでは産業
活性化・雇用創出推進局ともっとも関係が深いと思われる産業に焦点を絞って
感想を述べる。

■情報産業と知識産業では生き残れない
 近年グローバル化の波が押し寄せ、国境があいまいとなり、地域の価値観が
通用しない時代となりつつある。このグローバル化を推し進めるひとつの要因
として情報通信技術の発達があげられる。情報通信技術の発達の結果、情報産
業と知識産業においては、東京で生活していなくても、東京の仕事ができるよ
うになったといえる。これは逆に言うと、長野県で生活していなくても長野県
の仕事ができるようになったといえよう。このような環境においては、地域と
仕事を結びつけることにはあまり意味がないように感じられる。「情報産業と
知識産業を基軸とする産業構造へ転換する」よりも一歩踏み込まないといけな
いのではないだろうか。

■長野県に情報産業と知識産業はいらないのか
 では、長野県に情報産業と知識産業はいらないのだろうか。これだけ情報通
信技術が発達している中で、これらの産業がないとしたら、長野県において情
報通信基盤を構築するのに大きなコストがかかることになるだろう。情報産業
はソフトウェアだけで成り立っているわけではなく、ハードウェアと2人3脚で
成り立っているからだ。ネットワークを利用した情報やデータの交換であれば、
その場にいなくても良いが、ハードウェアの設置や故障への対応、ソフトウェ
アの初期設定などは現場にいなければできない。現場に近い方が迅速に、低コ
ストで対応ができるはずである。このようなことを考えると、長野県において
も他地域でも進むであろう情報産業と知識産業への転換は必要であろう。ここ
で述べているのは、情報産業と知識産業への転換を早急に進めつつ、もう一歩
先まで見通しを立てておかなければならない、ということだ。

■地域密着型産業
「未来への提言」では「地域密着型産業」という表現で、一歩先のヒントが述
べられている。長野県において、一地域でしか通用しなかった産業をもう一度
見直してみることや、地域に根ざした企業と研究機関とが協力し合って地域産
業の課題を解決することは重要であり、従来も行われてきている。しかし、そ
こに「地域密着型産業」という視点が加わると何か新たなものが見えてくるか
もしれない。注意しないといけないと感じるのは、「地域の何に密着するのか」
という点であろう。長野県でしかできないもので他地域に住んでいる人たちも
欲しがる物・サービスを作り出すためには、地域の何と密着させれば良いのか、
これを真剣に議論する価値はある。ただし、前述したとおり、情報通信技術に
より「地域と仕事を結びつけることはあまり意味がない」という環境になりつ
つあることを無視した議論とならないよう注意をしなければならない。

■世界に通用する地域密着型産業を
 地域密着型産業は従来からある地元の産業を復興させよう、もしくは従来か
らある地元の産業を種にして新たな産業を興そう、という考え方であるが、ま
ずはなぜ、現在ある地域密着型産業が世界に通用しないのかを分析しなければ
ならないだろう。地域密着型であり、全国、世界に知られていないのだとした
ら、おそらくそれは、他地域では通用しないものであるか、これまでは地元に
しか目が向いていなかったため営業が不足していた、ということだろう。前者
の場合はいかにすれば全国区の製品となりえるのかを研究支援する必要がある
だろうし、後者の場合は、視野を広げさせるための政策が必要である。この他
にも様々な理由があるだろう。詳細は個々のケースにより異なるであろうから
ここでは具体的に検討することはできない。具体的な政策については今後検討
がされていくであろうが、地域には歴史があり、産業は継続していることを念
頭において、産業育成のための環境作りに貢献できればと思う。地域密着型産
業において情報通信技術は基盤のひとつとなるはずである。そこで何かができ
るのではないだろうか。やるなら、世界に通用する地域密着型産業の育成を目
指したいものである。

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